筋力を考える

本日の講義の要点は、

1)筋線維が収縮して力を発揮する  筋収縮力なので、「筋力」である。

2)筋力には年齢差や性差がある。

3)筋力は、筋断面積と正相関し、絶対筋力固有筋力)は性・年齢に関係ない。

4)筋収縮の最小単位は筋節サルコメア)であり、これが並列すると筋原線維が太くなり、直列すると筋長が長くなる。

5)筋を引っ張るとサルコメアの数が増える  骨の長さ(成長)と相関する。

6)筋収縮力を最大限に発揮するためには、サルコメアの程よい長さ(至適筋長)というものがある。

7)遅刻するにも流儀がある。頭の高さは身長の2/3の高さで入室しようよ。



<確認事項>

解剖学的断面積と生理学的断面積のちがい。

絶対筋力(固有筋力)の求め方。(最大筋張力/生理的横断面積)

筋線維、筋原線維  収縮タンパク(ミオシン、アクチン)、調節タンパク(トロポニン、トロポミオシン)、構造タンパク(コネクチン[タイチン]、ジストロフィンなど)



筋力に差があるのはなぜだろう?そう考えると、夜もぐっすり眠れるが、心は落ち着かない。要因を列挙していくと終わりがないのではないかと錯覚する。

筋横断面積に比例すると教科書には書いているが、そうすれば筋線維は多かったり、太かったりするわけで、じゃぁ筋原線維もパンパンに太ってる方がいいわけで、ミオシン、アクチンがいっぱい詰まっていればそうなるわけで、それでもってサルコメアが縦横にいっぱい連結していて・・・やっぱりキリがないか?

筋(運動単位)の使い方にも要因があるだろうか。運動単位が多く参加すれば(リクルートメント)力は大きくなるだろうし、がんばれガンバレと頻繁に元気づけられた方が(発火頻度増大)大きな力が出そうだ。

関節レベルで考えると、テコの原理で働いてるわけで、筋の起始停止の位置のビミョーな違いによって大きくトルクが違ってくるなぁ?・・・やっぱりキリがない。

筋線維は平均直径約50µmで、10100µmの幅がある。 長さも数cmから10cmぐらいで細長い細胞である。筋線維を横から見ると縞模様が見える。 この隣り合う線の間1つひとつを筋節(サルコメア)といい(Z-Zの間)、骨格筋収縮の(機能的)単位となっている。

 筋の長さと筋節数と相関する。筋節数は生後増加し、性成熟期になると増加しなくなる。また、筋節数の加齢変化は、骨長の加齢変化と相似することから、骨格筋への長軸伸張が筋節数(筋長)に影響することがうかがえる。

遅刻をするのは必ずしも悪くない。だが、定刻にそこにいる人たちからすれば、たとえどのような理由であれ、迷惑な話なのである。「だってしょうがないじゃない!雪が・・・」と言ってしまうと戦争になる。すなわち、遅刻の「仕方」が問題なのである。

カッコイイ遅れ方(空気のように入室する)が出来る学生を見ると逆に気持ちがイイ。「よし!」と心でうなずきたくなる。「気遣い」とはそういうものではないだろうか?遅刻道を極めたい。・・・以上、昭和のオジさんの主張でした。



例題:〇×で答えよ。

1)発揮できる筋の張力は、筋断面積に比例する。

2)骨格筋は横紋筋である。

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筋収縮のメカニズムと調節

本日の講義の要点は、

1)筋肉はエンジンのようなものである(超微細構造を確認した)。

2)筋が収縮するイメージをビデオで確認した。

3)筋収縮のメカニズムについてのドラマを見て解説した。

4)筋線維と運動単位のタイプは3種類あり、各々対応する(混同してはいけない)。

5)筋力(調節)は、運動単位の「活動参加数」と「発火頻度」によって決まる。

<確認事項>

興奮-収縮連関(E-C coupling)の過程:登場人物と大道具・小道具:ミオシン、アクチン、トロポミオシン、トロポニン、カルシウムイオン、ATP、アセチルコリン、終板、細胞膜、T管、筋小胞体。

筋線維のタイプ・・・SO(Type I)FOG (Type IIa)FG (Type IIb)。基礎運動学P73の表を丸暗記するか?イメージ(理屈)で理解するか?得意な方を採用する。

運動単位のタイプ・・・SFRFF

サイズの原理に従うと、発揮筋力が大きくなるにつれ、S→FR→FFという順序で活動参加するらしい。

● A帯、I帯、H帯、Z帯、M

筋原線維を電子顕微鏡でみつめると、普通の顕微鏡で観察した時に見えるシマシマ(横紋)がはっきり見えてきて、その美しさに感動する。まず、暗い部分と明るい部分がすぐに判別できる。やがて明るいエリアに1本細い黒線(Z)を認めることができる。これをAだとかIだとかいちいち名前を付けると感動が薄れてヤボになる、が、学問上しかたがない。・・・そうですねぇ、折り合いをつけるとすれば、窓のブラインドのように(電子)がスーっと通り抜けるからそのエリアはIsotoropicな性質で、その頭文字を取ってI。なんだか遮るものが多くて(太くて)光がうまく通り抜けないから逆にAnisotropicな性質でAと理屈で名前を導きましょうか?(あくまでも頑張って覚えたくはない)


筋収縮時にサルコメアが短くなるが、そのうちどこが狭くなるかを問うてくる試験問題が時としてある。どっちでもいいじゃないかとも思いつつ、IHであることは理屈を考えれば自ずとわかる。「三菱IH炊飯ジャー(IH短縮じゃー」というアホな覚え方はダメである(別に三菱じゃなくてもいいが・・・)。


このままじゃミオシンが浮いてるじゃないかぁ?引っ張られたらどうやって元に戻るんだ~?と、かつて学生だった頃思ったことがある。心配していたら、コネクチンタイチンとも言うが、日本人としてはコネクチンを広めたい)というくねくねのバネかひもの様なタンパク質があって、それはZ帯から始まってI帯をつっきって、ミオシンフィラメントに結合してM線にまでつながっているらしい。そのおかげで、引き伸ばされても常に同じ位置にミオシンを戻してくれるらしい。安心した!


勉強してはいけない。覚えよう(暗記しよう)と強いて勉めてはいけない。脳がそれを拒絶する!身体に沁みこむように日常生活と一体化させる。そして感動する!「なぜ?」と問うて学ぶのが「学問」です。「解らない」のはいいことなのです!すばらしい!


興奮-収縮連関は複雑ですか?彼らもワケがあってそうしてるのでしょうから、そう責めてあげないで下さい。日常のありふれたシーンです。

アセチルコリンで門・玄関のチャイムを鳴らす。お入りください、ありがとう、とドア(細胞膜)を開けて入る。彼(ミオシン)は彼女(アクチン)と結ばれたいのですが、彼女の両親(トロポ一族:トロポミオシン[]トロポニン[])のガードが堅い。「うちのかわいい娘をお前のようなヤツにあげれるか~」などと罵声をあびる。おもむろに、手土産の包み(筋小胞体)からお酒(カルシウムイオン)を取りだし、お母さんに手渡してお父上に飲んで頂く。父、饒舌→上機嫌→寝る、と一連の過程を経て、ウダウダの間に結婚のスクラムトライとなる。トロポ両親の障害がなくなり、晴れてミオシン・アクチンは手を取り合う(クロスブリッジ)。そこに愛というATPのエネルギーを使ってミオシンはアクチンを引き寄せる(滑走)。・・・日常のありふれたシーンです。


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例題:〇×で答えよ。

1)疲労しやすいのは赤筋である。

2)ミトコンドリアを多く含むのは赤筋である。

3)筋収縮時にカルシウムイオンが筋小胞体から放出される。

4)タイプI線維は収縮速度が速い。

5)Sタイプの運動単位は比較的、神経支配比が大きい。

6)骨格筋の収縮にかかわる神経伝達物質は、アセチルコリンである。


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骨格筋と腱の受容器/骨のおはなし

本日の講義の要点は、

1)骨格筋と腱に存在する受容器(センサーのようなもの。センサーと言うと怒られるか?) について理解した。

2筋紡錘Ia群線維)は自分(同名筋)を奮い立たせ、ゴルジ腱器官Ib線維)は自分を抑制するというイメージを形成した。

3Ia群線維とIb群線維の引っ張りに対する感度は異なる。

4) γ(ガンマ)運度神経は、 筋紡錘(錘内筋線維)を支配して、筋紡錘の感度を調節している。

5骨芽細胞(骨形成) と破骨細胞(骨吸収) の両者の絶妙なバランスで骨量が保たれる。

6) 骨芽細胞は骨の土台となるコラーゲンの産生や石灰化に働き、 破骨細胞はコラーゲンンの分解や脱灰に働く。

<確認事項>

筋紡錘 → Ia線維、II線維 → 筋の長さ(変化)を感知 → 伸張反射 [膝蓋腱反射]、相反性抑制。

腱受容器(ゴルジ腱器官) → Ib線維 →筋張力の感知 → Ib抑制。(ゴルジはb:ゴルビー

γ運度神経 → 筋紡錘(錘内筋線維) → 感度調整 → α-γ連関。(αは錘外筋線維だ: (節分的に)アルファー外!、ガンマー内!

単シナプス反射、多シナプス反射。

抑制性介在ニューロン

関節の種類: ()関節、蝶番関節、楕円関節、鞍関節、車軸関節、平面関節

骨の構造: 骨膜、骨髄、骨質(海綿骨+緻密骨)、軟骨

骨の細胞: 骨芽細胞、破骨細胞、軟骨細胞

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立場(見方)によって名前の付け方や分類の仕方は異なる。信号の伝わる向きから見つめると、中心 (中枢)から末梢に向かっていると遠くなって行くから遠心性だし、末端から中心に向かっていれば求心性となる。一方、働き方の立場からみると、 末端の感覚情報を中央に伝えるならば感覚神経だし、 中央の意向・命令を末端に伝えて動かそうとするならば運動神経と呼びたくなる。のぼり線と下り線の立場の違いである。

(同様に関節で言えば、大腿骨の立場からみれば球関節だし、寛骨臼の立場からみれば臼関節となる。 )

本日の講義で学んだIaだとかIbといった神経は感覚神経であり、これを分類すると「Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ」群線維と分けることに昔からなっている (哺乳類の神経線維の分類でABCという分け方に対応させるときもあるが)。一旦分け始めると止まらなくなるのが解剖学で (また怒られるか?)、I群線維を、筋紡錘から出てるやつはIa群、腱器官から出てるやつをIb群と呼んでいる。

大切なことは、 これらの名前をひたすら暗記することではなく、どういう働きを持つことになるのかをイメージすることである。 筋が引っ張られて伸張してしまったらやっぱり元に戻したくなるだろうし(伸張反射)、 腱が強く筋収縮で引っ張られてなんだか不快感を感じたら筋肉にもうその辺でリラックスしてよ、と抑制したくなる (Ib抑制)。至って日常的なイメージです。

生体というのはキホン自分たちの都合のいいように仕組みをつくるようにしているわけで (だからこそ生きながらえてる)、例えば、自分たちのチームが効率よく骨を引っ張ろう(力を出そう)とするときに、 綱引き相手の反対側の筋肉たちには「頑張るな光線」 を送りたくなる。Ia群神経の頑張れ信号がそのまま拮抗筋に伝わっては意味がないので、 逆のマイナスの働きをするニューロン(抑制性介在ニューロン)を1つ間に入れることで相手を抑制するという妙技を達成している。 算数の全部プラスの掛け算の式に1つマイナスをはめ込んだら結論(答え)がマイナスになっちゃった、というような感じである。 だれが考えたのだろう?うまい!

応用するならば、他の脊髄反射なんかで「〇〇なんとか反射」みたいなものも、 「本日の講義の要点2)」のイメージと介在ニューロンの組み合わせの妙味でしくみが決まるので、 それを基本公式として理解していけば何とかならないだろうか?(多くのメモリーを使わなくて済むと思うのですが)。・・・ ならないですか!?

骨芽細胞(コラーゲンの産生、 石灰化)と破骨細胞は(コラーゲンの分解、 脱灰)実は絶妙なコンビネーションで連絡を取り合っている(決して敵対関係ではない)。 なぜだか骨を造るとそこに壊し屋・破骨細胞がやってきて骨を分解し、壊すと建設屋・骨芽細胞がやってきてまた骨を造る (カップリングという)。 両者のはたきのバランスがいい場合は骨量が一定に保たれるが、どちらかが抜け駆けして、頑張りすぎたり、サボりすぎたりすると、 骨が造られすぎたり、壊れすぎたりする。不都合(病気)は大体こういうバランスが壊れることに端を発する。

 「骨は犬」とイメージした人もいるようですが、何といっても骨は地味です。骨格筋のようにダイナミックに動くこともなければ、 神経のような輝きもない。だが骨は偉大にも多種多様な働きを持っている。大体にして、骨は人体の根幹をなすフレームであり (骨のある男なんて言う表現もある)、生体信号のスイッチにつかわれるカルシウム(イオン)の代謝にかかわり、「あんまり重いと筋肉さんがさぞ困るだろう」 と中身を中空にして我が身を軽くし、その中に骨髄をため込んで免疫や血球の準備をしてあげたり・・・ なんて日の目を見ない謙虚な振る舞いなんだと、ちょっと同情したくなる。このことを筋肉さんたちは解っているのだろうか? なんと隠徳な器官なのだろう。

 筋紡錘的に、試験がんばれ!

例題:〇×で答えよ。

1)筋紡錘のIa群線維は遠心性線維である。

2)腱器官は張力受容器である。

3)膝蓋腱反射は多シナプス反射である。

4)伸張反射の求心路はIb群求心性線維である。

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